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夢…獏の喰わぬ夢
第3章 春雨
「アっ、、、ふぅ、」
彼女は、もう吐息ではなく、美しい楽器の歓びの音色を響かせた。
「もっと聴かせて。」
僕は彼女の耳元で囁いた。
彼女の唇、吐息、こぼれる声、溢れる蜜、すべてが僕を歓ばせた。
彼女が僕の中で硬直し、すがりついてきた。
僕も彼女の中でいっぱいになった。
もう一度
「いい?このままで大丈夫?」
と訊いて僕は硬直し、総てを解き放った。
夢の中で思いのままになったような充足感。
全身が神経細胞になったかと思うほど研ぎ澄まされていて、
すべてを貫いた電流がまだピリピリと放電していた。
至福の時は永い永い余韻を残した。
真っ赤な夕陽が優しく部屋に入ってきた。
陽の赤と混ざりピンク色に輝く彼女の肌のあちこちにキスをした。