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夢…獏の喰わぬ夢
第3章 春雨
シャワーから出て、彼女のいない部屋にいる寂しさに負けて、外に買い物に出た。
腹が減っているんだ。
彼女のことに思いがいかないように、彼女と関係ないことを考えて、自分に命令した。
コンビニにいき、弁当を買う。レジは中年男が担当していた。
素早く、コンドームをカゴにいれ、レジを済ます。
中年男がそれを紙袋に入れる時、自分の顔をチラッと覗いたと思う。
毎日、夕方にここへきて弁当を買って帰る僕が突然こんなもの買うとは、本当に必要かい?と尋ねられたようだった。
次があるかなんてわからない。でも、ずっと準備しないでなすがままには出来ないし、もし、またその時がきたら、彼女に失礼だ。
用意しておくのは、エチケットとしておかしくないだろう。
だが、言い訳とは反対にそそくさと店を出て、早足でアパートに戻った。
紙袋はそのままクローゼットに押し込み、無機質な弁当で腹を満たした。
「ランチの時にシャツは返すって書いてあったな…」
昼には彼女の手料理をいただける。なんて幸せなんだろう。
昼間の疲れからか、満腹感からか、彼女に会うのが待ち遠しくいたたまれないからか、僕は、そのまま眠ってしまった。