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夢…獏の喰わぬ夢
第4章 五月晴れ
「シャツ、似合ってるね、その色。」
「ブカブカだけどね。可哀想に押し込められて忘れ去られてたから、自由にしてあげたの。」
「それはシャツ思いだ。」
混雑の中で無難な話題を探そうとしたが見当たらない。
背の低い彼女は酸欠ぎみだ。
僕の胸に両手を置き頬を寄せて、会話もままならないくらいになっていた。
彼女は白いTシャツの上に僕のシャツを羽織っていた。
白いTシャツは、小柄な彼女には不釣り合いな存在感あるバストを強調している。
その中身が僕の前に全てをさらけ出したあの美しい形のものだと知っている。
平常心でいられる方がおかしい。
彼女に知られるのは恥ずかしくないが、このままでは大学に行けなくなってしまう。
彼女が苦しそうに僕を見上げる。
「大丈夫?」
小柄な彼女を気遣い顔を近づけると、
「大丈夫じゃない。私の夢にもあなたが出てきたわ。
本当のあなたより、もっと自由で奔放な私が作り上げたあなた。
思い出しちゃった。」