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夢…獏の喰わぬ夢
第4章 五月晴れ
「夢の続き?」
僕のようやく言葉にした曖昧な一言だった。
「続き?あそこでは夢は見ていないわ。」
はぐらかされたのか、真面目なのか、動転していた僕に探る余裕はなかった。
「そうだね。どこで待ち合わせようか。」
「喫茶店にしましょ。2時頃に、どちらかが遅れても、お茶を飲みながら待てるわ。」
僕は朝からでも逢いたいところだが、まさか、昨日のように数時間で消えるつもりだろうか。
計画もなく、場所と時間を決める権利を彼女に譲ってしまった自分が、悪いのだから、今さら変更の申し出も変だろう。
「わかったそうしよう。」
僕は、最初は人目を気にして会話を選んでいたことをすっかり忘れていたが、あっという間に、ランチタイムは終わりとなった。
午後も眠り続ける彼女と一緒にいた。
帰りも自然に一緒の電車で帰ったが、明日の約束をしてから今日も一緒にいたいと言い出せなかった。
勇気を出して、
「家まで送ろうか?」
と尋ねたが
「まだ明るいから大丈夫」
という答えにそれ以上は言えなかった。