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夢…獏の喰わぬ夢
第6章 過去
「私はね。千葉よ。お互いそんなに遠くじゃないのね。
兄弟はいないわ。居れば親ももっと私のことわかったでしょうね。
なかなか子供に恵まれず、やっと授かったって言ってたわ。
でも、私、彼等のところに行くの遅すぎたのよ。
彼等は年をとって、自分達が子供だったこと忘れてしまっていた。
周りは農家が多いの。
父親はサラリーマンでも母親が祖父母と畑にいき、子供は畑の傍らで遊んでいる。
近所の子供達は畑を遊び場にしていたから、公園なんてなかったし、両親は元々土地の人間じゃないの。
母親が病弱だったから空気がよいところを選んだの。
母親は、私と家で過ごしたわ。
母が社交的で私を畑に連れて行ってくれてたら、今頃私は活発な女の子になってたわね。
幼稚園に入ってもなかなか友達はできなかった。両親が悩み始めたわ。
この子は変わっているって、
私に言ってくれたら良かったのにね。
学校に行っても私は変わった子供なんだと思ってたから、友達は作らなかった。
家で本を読んだりお人形でママゴトばかりしていたわ。
ママゴトで家族ごっこ、友達ごっこしている私を見て母親は気味悪がった。
ますます私は人を避けたの。
学校で友達みたいな子はいたけど、家に行ったり来たりはなかったわ。