この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
初戀 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 いつか、二人で
当麻は美しい綾香の頬に流れる涙を拭う。
「泣かないで、綾香さん…」
「…嬉しいの…。嬉しくて涙が出るの…」
泣き笑いする綾香が愛しい。
気持ちが落ち着くまで背中を優しく撫でる。

…と、不意に蓄音機からMs.Dの歌が流れてきた。
振り向くと、バーテンダーの千吉がカウンターに隠れるようにして蓄音機の螺子を巻き、小さくなって裏口から出て行くのが見えた。
「…千ったら…」
綾香がくすりと笑う。
当麻は綾香を優しく抱きしめながら囁く。
「…踊ろうか…?」
綾香は当麻を見上げ、恥ずかしそうに頷く。

…小さな舞台に上がり、二人は抱きあって踊り始める。
Ms.Dの甘く切ない愛の歌…。

いつか街灯りの側で会おう…
昔みたいに…

僕たちはこの歌みたいに過去の恋人たちにはならない…。
…この白く美しい手は決して離さない…。
当麻は、綾香の顔を優しく両手で覆い、そっと唇を奪う。
綾香は震えながら、当麻の口付けに応える。
「…愛しているよ、綾香さん…」
「…私も…」
「…制服、可愛いね…綾香さん」
綾香はあのフランス料理店の制服のままの姿だった。
綾香が涙ぐみながら笑う。
「…バカ…。ねえ…綾香って呼んで…?」
「…綾香」
「望己さん…」

Ms.Dの愛の歌に合わせて踊り続ける。
「…今日、綾香の家に行っていい…?」
「いいわよ。…狭いけど…驚かないでよ?」
「…どんな所でも、綾香がいれば僕には王宮さ」
「…バカ…。でも…大好き…大好き…大好き…」
…その先は、当麻の唇に塞がれて、言葉は形にならなかった。


いつの日か…
僕たちはこの日を懐かしく思い出すのだろうか…。
灯りを落とした小さなカフェの舞台で
Ms.Dの愛の歌に合わせて踊った…。
初めてのキスをした…。
甘く切ない初戀の一夜を…。


〜fin〜





/35ページ
※結果は非表示に設定されています
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ