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初戀 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 いつか、二人で
当麻は美しい綾香の頬に流れる涙を拭う。
「泣かないで、綾香さん…」
「…嬉しいの…。嬉しくて涙が出るの…」
泣き笑いする綾香が愛しい。
気持ちが落ち着くまで背中を優しく撫でる。
…と、不意に蓄音機からMs.Dの歌が流れてきた。
振り向くと、バーテンダーの千吉がカウンターに隠れるようにして蓄音機の螺子を巻き、小さくなって裏口から出て行くのが見えた。
「…千ったら…」
綾香がくすりと笑う。
当麻は綾香を優しく抱きしめながら囁く。
「…踊ろうか…?」
綾香は当麻を見上げ、恥ずかしそうに頷く。
…小さな舞台に上がり、二人は抱きあって踊り始める。
Ms.Dの甘く切ない愛の歌…。
いつか街灯りの側で会おう…
昔みたいに…
僕たちはこの歌みたいに過去の恋人たちにはならない…。
…この白く美しい手は決して離さない…。
当麻は、綾香の顔を優しく両手で覆い、そっと唇を奪う。
綾香は震えながら、当麻の口付けに応える。
「…愛しているよ、綾香さん…」
「…私も…」
「…制服、可愛いね…綾香さん」
綾香はあのフランス料理店の制服のままの姿だった。
綾香が涙ぐみながら笑う。
「…バカ…。ねえ…綾香って呼んで…?」
「…綾香」
「望己さん…」
Ms.Dの愛の歌に合わせて踊り続ける。
「…今日、綾香の家に行っていい…?」
「いいわよ。…狭いけど…驚かないでよ?」
「…どんな所でも、綾香がいれば僕には王宮さ」
「…バカ…。でも…大好き…大好き…大好き…」
…その先は、当麻の唇に塞がれて、言葉は形にならなかった。
いつの日か…
僕たちはこの日を懐かしく思い出すのだろうか…。
灯りを落とした小さなカフェの舞台で
Ms.Dの愛の歌に合わせて踊った…。
初めてのキスをした…。
甘く切ない初戀の一夜を…。
〜fin〜
「泣かないで、綾香さん…」
「…嬉しいの…。嬉しくて涙が出るの…」
泣き笑いする綾香が愛しい。
気持ちが落ち着くまで背中を優しく撫でる。
…と、不意に蓄音機からMs.Dの歌が流れてきた。
振り向くと、バーテンダーの千吉がカウンターに隠れるようにして蓄音機の螺子を巻き、小さくなって裏口から出て行くのが見えた。
「…千ったら…」
綾香がくすりと笑う。
当麻は綾香を優しく抱きしめながら囁く。
「…踊ろうか…?」
綾香は当麻を見上げ、恥ずかしそうに頷く。
…小さな舞台に上がり、二人は抱きあって踊り始める。
Ms.Dの甘く切ない愛の歌…。
いつか街灯りの側で会おう…
昔みたいに…
僕たちはこの歌みたいに過去の恋人たちにはならない…。
…この白く美しい手は決して離さない…。
当麻は、綾香の顔を優しく両手で覆い、そっと唇を奪う。
綾香は震えながら、当麻の口付けに応える。
「…愛しているよ、綾香さん…」
「…私も…」
「…制服、可愛いね…綾香さん」
綾香はあのフランス料理店の制服のままの姿だった。
綾香が涙ぐみながら笑う。
「…バカ…。ねえ…綾香って呼んで…?」
「…綾香」
「望己さん…」
Ms.Dの愛の歌に合わせて踊り続ける。
「…今日、綾香の家に行っていい…?」
「いいわよ。…狭いけど…驚かないでよ?」
「…どんな所でも、綾香がいれば僕には王宮さ」
「…バカ…。でも…大好き…大好き…大好き…」
…その先は、当麻の唇に塞がれて、言葉は形にならなかった。
いつの日か…
僕たちはこの日を懐かしく思い出すのだろうか…。
灯りを落とした小さなカフェの舞台で
Ms.Dの愛の歌に合わせて踊った…。
初めてのキスをした…。
甘く切ない初戀の一夜を…。
〜fin〜