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初戀 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第1章 Boy meets girl
当麻は一瞬ぽかんとしたが、慌てて綾香を追いかける。
「ま、待ってよ。…じゃあさ、いつなら暇かな?」
綾香は足早に歩きながら、綺麗な眼でじろりと当麻を睨む。
「…暇なんかない」
「え?…だって、休みは?」
「店の休みはバイトと歌のレッスン!」
更に早足になる綾香に追いすがり
「で、でも…1日くらい休みはないの?…あ、休みじゃなくても夜、食事する時間くらい…いつでも、何時でもいいよ。君に合わせるから…」
綾香は脚を止め、当麻の真ん前に仁王立ちになる。
「…私はお金持ちのボンボンのあんたみたいに暇なんてないの!もうついて来ないで!」
…綺麗な子は怒ると更に綺麗になるんだな…
当麻はぼんやりとそんな事を考えていた。
「…で、でも…」
「でもじゃない!私はね!あんたみたいなブルジョアの大学生が大ッ嫌いなの!…なによ…ちょっと甘い言葉を囁けば、庶民の女なんて尻尾振ってついてくるって、自惚れているんでしょ⁈もう放っておいて!」

さすがに当麻も、その辛辣な言葉には息を飲み肩を落とした。
綾香ははっと口を押さえ、しかし、すぐに小さな声で
「…お坊ちゃまにはお坊ちゃまの世界があるでしょ…帰って」
…そう呟くとそのまま駆け出し、あっと言う間に夜の街角の中へと消えて行ってしまった。

当麻は溜息を吐く。
…取り付く島もないとはこのことだ。
けんもほろろに拒絶された。
…今まで、女の子にアプローチして嫌な顔をされたことなんか一回もない。
女の子たちはみんな嬉しそうに当麻の誘いに乗ってきたというのに…。

…あんな子は初めてだ。
綺麗で、気が強くて、無愛想で、野性の猫みたいに警戒心が強い…。
…あんなに拒絶されたのに…
なぜ、こんなに胸がときめくのか…。
あの子を振り向かせてみたい。
あの子に見つめてほしい。
あの子に笑ってほしい。
…そう…僕は、あの子の笑顔が見たいんだ…。
…こんな気持ちは初めてだ…。

…当麻はあっけなく、落とし穴に堕ちるみたいに恋に堕ちていた。











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