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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第13章 交差-人間模様
「・・・だがね・・」
相談した時の医者の言葉……
『投薬治療だけでは何とも…
本当はカウンセリングも含めて、心的要因から改善する必要があるかと……
投薬は一時的措置にしかならない場合もあります』
確かにそうだ、幾ら薬を飲ませても一時凌ぎに過ぎない。
根本的な問題の解決こそが、拒食症を治す最大の心的解放になる。
とは言っても、今のところ吉田春夫に関する進展は殆ど無し、やはり本人が証拠を持ち歩いている可能性が高い‥そう報告が来ていた。
「・・会長……」
「ん、どうした?」
午前中の仕事時間までこんな事を考えるとは…
流石に公私混同のし過ぎだと、私自身に笑ってやりたい。
「内輪での会食の予定が入って来ていますが、如何しますか?」
「内輪‥のか……」
「はい、専務取締役と常務取締役、それと早乙女派から数名と言う話です…
女性は居りませんが、かなり堅苦しい会食になるものかと思われます」
「堅苦しいのは構わないよ、仕方が無い事だ…
毎回出ないという訳にもいかない、出席の方向で調整してくれ」
「分かりました、そのように返信致します」
「ああ……」
やれやれ、本当に頭を切り替えないと……
専務も常務も歴戦の狸共、下手に素を出せば向こうに都合の良い餌を与えかねない。
「会長の仮面‥ね……」
だから私は仮面を付ける、早乙女会長という威厳の仮面を…
ずっとそうしてやって来た。
「今日明日という訳ではありませんので…
打診が来ているだけで、まだ正式な人数も会食場所も決まっておりません」
「そうだかね…
多少の心の準備は必要だ、そうだろう遠藤?」
「・・はい・・」
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