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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第14章 闇の中の一筋の光
何とか大人しく車には乗ってくれた…
だが、美紀は私の方を見ようとはしない。
遠藤も、予想外の美紀の姿に驚いたようだったが、すぐさま冷静さを取り戻し、車を発進させた。
「・・あの…
ぁたしやっぱり……」
「今は私の言う事を聞いてくれないかい?」
「だけど………」
「怪我の治療が終わったら、美紀の好きにして構わない…」
「・・・・・」
身体を抱き締め、ただうなだれる美紀に、優しい言葉の1つでも掛けてあげられれば良いのだが、頑なな美紀に、私は最小限の言葉しか出て来ない。
車はそのまま早乙女邸へ入って行く…
車から降り、屋敷の中に入ったは良いが、どこで美紀を治療させるべきか??
此処には他の秘書達も常駐しているし、やはり私の私室が一番良いだろう。
「こっちだ…」
「・・・・・」
美紀はただ無言で私の後を付いて来る…
まるで心が無いように、うなだれ顔を上げる事すらしない。
何某あったのは確かだろう…
それにしても、此処まで傷付いていたとは……
倉原が無理を承知でと言ったのが、今更思い出させる、倉原もこれを警戒していたのだろう。
私が頷かなかったばかりに………
私室まで来れば、後は誰も来ない…
やっと肩の荷は降りたが、まずは怪我の治療の前に、美紀を温めなければ。
「部屋の奥に、風呂とシャワーがある…
雨で身体が冷え切っているだろうから、まずは温まって来なさい……
その間に私は救急箱でも持って来るよ」
「・・・・・」
とりあえず、コクンと頷いてはくれた…
美紀をバスルームに連れて行った後、私は本当に救急箱を探しに私室を出た。
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