この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第14章 闇の中の一筋の光
濡れ髪に、タオルを掛けて、まだ後ろを向いている美紀を簡単に横抱きに‥本当に軽い、どれだけ痩せたか分かる程に。
美紀の方は慌てて、首に腕を巻き付けて、バランスを取ったみたいだけど。
「・・季永さん‥だ・・」
「ん??」
「その格好……」
「ああ!
スーツ姿だったのは、たまたまだよ…
仕事で出ていたからね、普段は何時もこんなもの」
「此処でTシャツとジーンズ……」
「おかしいかな??」
「うんん…
何か季永さんらしい…」
「紀・永・」
「へ??」
「さんは要らないよ…
それに紀永‥本名だからね」
「あ‥そうだった」
どうも、美紀の印象は季永のままらしい、まあ仕方ない事だが……
「紀永・・・・さん・・・」
「だから、さんは……」
「何だか呼び難い…」
「それなら、少しずつ馴れてくれないかい?」
「少しずつ……」
如何にも、馴れるかなっていう思案顔が面白い、可愛いとも言うが……
他愛のないお喋りをしている内に、ベッドに辿り着く…
そっと美紀をベッドに下ろし、先程持って来た救急箱に手を掛ける。
「傷‥見せて?」
「でも……」
「大丈夫」
「うん………」
少し躊躇していたが、大人しくバスタオルを広げてくれる…
傷だらけの身体‥見ているこちらが辛い程に傷が多い。
大きな傷から始めて、次第に小さな傷へ…
思っていたより包帯類が沢山入っていて助かった。
「良いよ、後は‥頬は冷やそか…」
「・・うん……」
流石に、頬の話は辛いらしい…
少しだけ嫌そうな顔をした。
・