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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第15章 束の間-早乙女邸-
「それこそ今更だ…
あの状態で話を聞いて欲しいなど、私の勝手だったのかも知れない」
あの時は……
突然の現実に、ぁたしの思いだけで手がいっぱいで、紀永さんの話を聞かず、目も耳も塞いだ。
砕け散った幸せの衝撃の方が大きくて、何か言おうとした紀永さんの言葉を全て切り捨てたんだ。
まさか、こんな言葉だったなんて…
あの時気付いていたら……
「・・ぁたし・・・」
「今は、漸くこうして美紀が居てくれる、そして抱き締める事も出来るんだ…
何か不安な事があるかい?」
「・・無い……
紀永さんと一緒が良い……」
「ああ……」
ぁたしが泣き止むまで、ずっと抱き締めてくれて、髪を撫でていてくれる。
安心する…
紀永さんの腕の中……
どこよりも安心出来る・・・
結局、かなりの時間泣いていたワケで…
遠藤さんが、医者が来たと声を掛けてくれるまで、ぁたしは紀永さんの胸の中で泣いていた。
その後、泣き顔を見せたくなくて、慌てて洗面所に飛び込んだケド……
診療は寝室でやるみたい…
流石に男はね‥と言って、紀永さんと遠藤さんは、隣の部屋に引っ込んでしまった。
そうだよね…
女の診療に男の人が付き合うって、あまり聞いた事無いし、ぁたしも恥ずかしい。
そんなズレた事を思っていたら、今度こそ本当に白衣を着た医者が入って来た。
「ほぉー
これは可愛いお嬢さんだ、だけど少し痩せ過ぎだね…」
「は‥はぁ・・・」
確かに、見た目偉そうな感じだけど、ホントに軽口‥みたい…
この人なら大丈夫かな?
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