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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第15章 束の間-早乙女邸-



リラクゼーション…


吉田春夫が居る限り、美紀に心の安定は不確定要素が多い。



「とりあえず、詳細な診断結果は此処に…」

「ああ…
わざわざすまない」

「いえ…
会長の方も、少しながらお疲れの様子で…」

「別に私は…
いや、昨夜からバタバタしていたせいだ、心配は無い」

「そうですか…
では、私はこれで……」


医者が出て行った後、渡された診断結果に、溜め息が出そうになる。


これほどまでに酷い惨状…
追っていた筈なのに、この事に気付けなかった私は……



「・・情けないね……」


完全に、吉田春夫を甘く見ていた私の判断ミス…
教師という立場が、此処までする訳が無いという、勝手な思い込み。


やはり、自分の思いを曲げてでも、倉原の言う通り無理にでも此処で静養させるべきだった。



「・・
そう‥倉原に……」


美紀が此処に居ると、連絡を取らなければならない…
幸い今日は日曜‥倉原も自宅に居るだろう、帰って来ない美紀を心配して……


スーツの内ポケットに入れてあった携帯、最近は連絡を取り合うのに、常に持ち歩いていた。



「・・・」


アドレスから倉原に電話を掛ける‥多分出るだろう。



『もしもし…』

「私だが…」


コール後、直ぐに電話に出た…
倉原もこちらに掛けようか迷っていたのか?



「深夜に1人歩いて居た美紀を見付け、私の方で保護している」

『そうか…
美紀は早乙女のところに居たのか……』

「ああ…
少々、無理な説得だったが、あのままにもしておけなかった」

『それで美紀は?』

「今は大人しく屋敷に居るよ…
医者にも見せた」



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