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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第15章 束の間-早乙女邸-
『よく出来たな…
私達では、話も聞いて貰えなかったのに……』
「・・・
かなり長時間説得したからね…
やっと折れてくれたよ、それから‥暫くはこちらで治療も兼ねて療養させるが構わないかい?」
『勿論…
美紀の安全の為にもなる』
「それなんだが…
少しの間、学校の方は入院か何かで休むという事に出来ないか?
私の方から連絡する訳にはいかないからね」
『こちらから連絡すれば良いのか?』
「ああ…
少し‥せめて体力が戻る間だけでも、休ませた方が良い‥半分は医者の意見だが……」
『分かった…
そのように連絡しておく』
「すまないね…
療養と安全を考えたら、休ませるのが一番良いと思ってね」
『それもそうだ…
美紀の事を頼んだ早乙女』
「当たり前だ…
大切な娘を傷付けられて、黙っている親がいると思うかい?」
『そうだな…
確かにその通りだ』
「だから任せて欲しい、連絡はちゃんとするよ」
『ああ…
信用している‥それしか言えん』
「・・・ああ・・・」
電話を切って思いに耽る……
かなり本当の事を隠した内容になってしまった。
嘘は言ってはいない…
だが、隠し事なら沢山ある、倉原に話せない隠し事が……
「何時の間に、こんなに嘘が上手くなったんだろうか……」
倉原相手にさえ、簡単に嘘が付けるくらいに…
全てにおいて嘘が悪いとは思わない…
だけど‥疎遠になったとはいえ、一番の親友だと思っていた倉原にまで嘘を付くのは、流石に気が引ける。
「・・言える訳も‥無い」
もし、本当の事を話したら、倉原はどういう態度を取るだろう?
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