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第16章 平穏と秘密

「後戻りなんて出来なくて良い…
それに怖くないよ‥紀永は怖くない」



そうだったんだ……



線を引いていたのはぁたし自身。



再会した日…
紀永さん‥うんん紀永は"さん"は要らないって……


それなのにぁたしはずっと紀永"さん"と呼んでいた…
それが、ぁたしが無意識に作った線だったんだ。


彼奴に散々やられ、知らない内に男性を怖いというか、遠ざけていた…
紀永はぁたしの心に気付いていた、ぁたしが怖がっていた事に……




「なら躊躇わない…
私だって美紀が欲しい、美紀の全てを……」

「良いの？
こんなぁたしで…
あの頃のように綺麗じゃないぁたしで……」

「綺麗だよ美紀は…
それに、何があったにせよ、私が愛した美紀には変わりはない……
私が私であるように」

「・・紀永！」

「おっと！」


思わず感極まって、紀永に抱き付くぁたし…


紀永はぁたしを上手く受け止め、頬に触れながら優しい笑顔でキスして来た。



「・・んっ・・」

「ふっ…
美紀‥もっと舌出して？」

「こう？？」

「そう……」


唇の前に舌先が触れ合う…
うっすらと目を開ければ、絡み合う赤い舌と舌……


こう‥普通にキスするより恥ずかしい。



「・・私の‥美紀……」

「紀永………んっ……」


唇が奪われる…
すぐさま紀永の舌が、ぁたしの口内に入って来て、ゆっくりと舌を絡ませ合い、何度も何度もディープなキスの繰り返し。



「あ………ん……」


夢中になる…
紀永とのキスは好き…


どちらの舌なのか唾液なのか分からなくなるくらいの、情熱的で激しいキス・・・



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