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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第17章 早乙女会長の策略
"ガチャ…"
久々の玄関の音、そっと家の中に入り階段を上ろうとしたら、台所に養母が立っていた。
「・・・・・ただ・・・・・いま・・・・・」
随分長い事言って無かった言葉‥ただの挨拶なのに、凄い違和感がある。
「おかえり・・・なさい・・・」
やっぱり、久々に聞く養母の相打ち…
それだけの長い間、ぁたしは挨拶すらしていなかったんだ。
それ以上なにも言えなくて…
ぁたしはそのまま、2階の自分の部屋へと上がった。
「・・あの日のまま・・」
彼奴に呼び出された、あの日に戻った感覚…
嫌だ‥次に彼奴に会ったら、間違いなく殺される…
ずっと携帯の電源を落とし、入院中って事になってるケド、彼奴は絶対に諦めていない。
「・・・大丈夫・・・約束したんだもん・・」
なんとかしてくれる…
紀永なら‥紀永だから……
後ろ向きな思いを振り切って、ぁたしは必要な物を取り出しに掛かった。
多くも少なくもない、持って行きたい私物の量。
お気に入りの服とか、好きな本とか結構かさばる物ばかり。
「あっ、パソコン…」
欲しいデーターがあるんだった…
机の側に行って‥どうしてもパソコンの前に目に付いてしまう、置きっぱなしのスケッチブック………
「・・ふぅぅ--」
少し迷い、恐る恐るだけど、ぁたしはあの日以来初めて、スケッチブックに手を伸ばした。
「・・・・・」
パラパラと中を見れば、様々な夏の風景のラフ画‥こんなに書いていたんだぁたしは…
半分以上記憶に残っていなかったから、今見ると不自然な感じ。
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