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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第17章 早乙女会長の策略
「後……早乙女邸で療養の話も……」
「そうか…
優しくて良い父親だろう?」
「・・うん…
優しくはしてくれる」
「昔から、そんな感じだったからな…
もう暫く療養していれば良い」
「・・うん・・」
数年振りの父貢との会話、隣で母薫が涙ぐんでぁたしの方を見てる。
居たたまれない気分になる事は十分承知、それも覚悟してリビングに降りて来た。
少しだけでも話せた…
話せないんじゃないかと不安で堪らななかったのに、意外に言葉が出てくれた。
「ごちそうさま……朝も此処で…食べるから……」
「そう…
好きなサンドイッチを用意しておくわ」
「うん……」
緊張で全部は食べられ無かった…
でも、紀永の願いに一歩だけ近付いた気はする。
今はこれだけで精一杯、ぁたしは席を立って、そそくさと2階に飛び込んだ。
「・・そうか…
早乙女と話したのか……」
「・・・あなた・・・」
「話す気にはなってくれたんだな…
早乙女に感謝しなければ…」
あれだけ頑なだった美紀の心を、どうやって開いたのかは分からないが、早乙女が美紀を説得したのは確かなようだ。
私達では出来なかった事…
本当の親子のせいなのか、早乙女の性格故なのか、美紀は早乙女の言葉に耳を貸す気にはなってくれたらしい。
「今はこれで十分だよ」
「そうね…
顔を見せてくれただけでも……」
「ああ……」
もう少し時間が経てば、色々話してくれる事もあるだろう。
今回は荷物整理の為の、数日間の帰宅だと連絡は来ている…
自分の娘だ、早乙女だとて悪いようにはしない…
その為だけに会長まで上り詰めた男だ、任せて良い‥あの男ならば心配は無い。
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