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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第18章 緊迫-逃走-
此処は冷静に…
如いては事を仕損じる、全て会長から習った。
「・・・・・」
数分‥待っただろうか?
件の吉田春夫がアトリエ内に入って来た。
「・・どちら様です?」
「此処に餓‥女が1人入って来なかったか?」
これが吉田春夫…
中肉中背、特別変わったところは無し、ただし物言いに問題はあるが……
「女性‥ですか?
私は先程から此処におりますが、女性は入って来ておりません」
「確かに此処に入った筈だ」
「私の話は信用なりませんか?」
丸っきり、こちらの話を聞く気も無い…
頭は相当堅いと見える。
その間にも吉田春夫はアトリエ内をウロウロ…
不自然に開いている物置が気になったようだ‥見ても何も無いが……
「勝手をされても困りますね、店主の杉田さんは不在‥何かあれば此方の不手際になりますので…」
「不在?
では、其方は此処で何を??」
しつこい男…
確かに美紀様が嫌うのも納得出来る。
此処は引き下げる為にも、高見から言った方が効果的。
「これは失礼…
私は会長の命で杉田さんとの取引の為に此処に…
杉田さんの方が所要で遅くなるとかで、此処で待ち合わせをしていたまでですが?」
「・・・会長・・・」
「ええ…
私は早乙女会長の第一秘書を勤めさせて頂いている遠藤と申します…
会長が杉田さんの絵をいたくお気に召して、売買交渉の為にお邪魔させて頂いていますが、貴方はどのような用事で?」
みるみる吉田春夫の顔色が青くなっていく…
当たり前の事、その為に早乙女会長の名を敢えて出したのだから。
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