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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第18章 緊迫-逃走-
早乙女会長の名を出して、慌てない人間はそうは居ない。
実態は分からないが、国中に権力がある早乙女グループ会長、もし目に止まれば只では済まないと、この男でさえ分かっているだろう。
「お‥いえ私は人捜しを……」
「ですから、女性は入って来なかった…
私はそう申し上げた筈ですが?
それとも、まだ私が信用なりませんか??」
「い‥いえ…
滅相も無い、私の勘違いだったようで、失礼な態度申し訳ありません」
上に媚び、下に傲慢
社内で見掛ける、胡麻擂り人種‥所詮その程度な男……
今すぐ手を下したいが、会長の計画もある、此処は見逃すだけに留めておいた方が賢明。
「そうですか…
私は杉田さんを待ちますが、貴方は?」
「わ‥私は、これで……」
そそくさと退散して行く姿は、なんとも醜悪な……
とりあえず、これで良い…
二度と此処には来ないだろう。
"パタン"
開けっ放しの入り口を閉め、鍵を掛けてからセキュリティー解除…
これで吉田春夫の方は一段落。
「そう‥美紀様!」
慌てて物置の壁を開くと、身を抱き締めて震える美紀様が………
「・・美紀様・・・」
先程の事が無かったように、努めて柔らかい声で美紀様に話し掛ける。
「遠藤さん・・・彼奴・・は・・・」
「心配ありません、追い払いました」
「・・そう・・・」
安心させようとしても、美紀様の震えは止まらない。
「・・今度・・彼奴に捕まれば・・・絶対に・・殺される・・・」
「・・・・・」
此処まで怯えていたとは…
少し吉田春夫を甘く見ていたのかも知れない。
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