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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第18章 緊迫-逃走-



書面上でしか見ていなかった吉田春夫…
もう少し裏の性格を考慮すれば良かった、あの傲慢の方の性格を……


巨大な早乙女グループという会社の中で、こんなのは沢山見て来た筈なのに、何故私は見逃してしまったのだろう。



「・・遠藤さん?」

「・・!
申し訳ありません、立てますか美紀様?」


うっかり考え事を…
私とした事が……



「ごめんなさい…
長い距離を全力で走り過ぎたせいで足が……」

「いえ、最もな事です」


震え立つ事も出来なくなるくらい、無我夢中で此処まで……



「・・・・・」


思わず安心させようと手を美紀様の方へ伸ばす・・・が、途中で拳を握り締めて、触れる事を止めた。


その役目は私では無く会長・・・


会長が美紀様をどれだけ大切に‥愛しているかを、近くに居て十分に理解している。


それなのに、私が美紀様に触れる訳にはいかない………本当は抱き締めてでも安心させてあげたいのに……



「では、少し落ち着いたら、アトリエの方で休みましょう…
それから屋敷の方へ行っても差し支えありません」

「・・はい・・・」


まだ治まらない震え…
美紀様は、こんな青い顔をして震えているより、屋敷内で見せる笑顔の方が似合っている。



・・・
分かってる……私の邪な心………


美紀様の18才の誕生日のあの日、対応に出た私は初めて美紀様に会った。


少し大人びた表情と、いきなりの早乙女邸で不安な瞳…
その表情に引き込まれたのは確か、そう‥私は美紀様に魅せられた。



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