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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第18章 緊迫-逃走-
そして、あの悲劇……
事の真相を会長から聞いた時は驚いたが、それからは美紀様の行動監視に積極的に協力するようになり……
その中で吉田春夫を見付けた‥脅迫しているらしいと。
私が懇意にしているあの男を会長に紹介したのも、裏で美紀様に関わるあらゆる事を探ったのも、全て美紀様を思うが故。
邪な心は分かってる、一生心に秘めなければならない事も……
会長と美紀様の関係に、私は首を突っ込むべきでは無い…
ただ側で、こうしていられるだけで良い。
幸い、美紀様に嫌われていないのは理解出来ている…
ならば、今のままで十分。
子供の頃から尊敬する会長を、裏切るつもりは一切無い…
私が望んで祖母に頼み、この屋敷で勤められるように手配して貰った。
ずっと憧れだった…
己が力だけで、会長職まで上り詰めたあの人を……
子供の私から見てもその鮮やかな手腕に感動し、ああいう大人になりたいと強く思い、近くで‥会長の側で勤められるならと秘書試験を受け、屋敷に来てからは第一秘書まで上がる為に必死に努力。
結果、会長が公私共に認める第一秘書に…
表に出ない会長の代わりに、内外全て取り仕切る立場‥今の状態に私は満足している、子供の頃からの憧れだった会長の信頼を得て此処にいるのだから。
だから、このまま…
会長と美紀様の側に居られる今のままで…
少しだけ笑い掛けてくれるだけで、私は十分満足している。
それ以上は望まない……
「・・遠藤さん、そろそろ歩けそうです」
「分かりました、ゆっくりで良いですから階段を登って下さい」
「はい・・・」
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