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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第18章 緊迫-逃走-
「・・・美紀!!」
慌てたらしい紀永は、スーツ姿そのまま…
どうやら仕事を片付けて、その足で飛んで来た‥らしい。
「大丈夫…
遠藤さんに助けて貰った」
「そうか…
執務室のモニターから見てはいたんだが、何故吉田春夫と?」
「偶然…
紀永に言われた通り、向こうじゃなく、こっちの街に買い物に出て、街を歩いていたら鉢合わせしたの」
「偶然・・・」
紀永‥渋い顔してる…
ぁたしだって、こんな偶然があるなんて思わなかった、恐ろしい偶然。
「それで、向こうの方は??」
「それは私から…
絵の売買交渉という話で会長の名を出しましたから、此処には近付かないだろうと推察されます」
「私の名‥ね……」
「・・・
早乙女会長が杉田さんの絵をいたく気に入り、秘書の私が会長の命を受け、売買交渉の為に此処で待ち合わせしている…
そう話を持っていきましたので、暫くは近付けないものと……」
「なるほど…
そしてまだ、此処に誰かが出入りした形跡は無しか」
「はい…
建て前上、杉田さんはまだ戻らなく、私はまだ此処に居る…
もし見張っていたとしても、入り口が開く事は無かったのですから、不法侵入すら出来ないものと思われます」
そんなやり取りをしていたんだ…
あの短時間で、そこまで考えるなんて、やっぱり遠藤さんって頭が良い。
「まあ‥それで良いだろう…
それと、美紀怪我は無かったかい?」
「走り過ぎて足がツラい程度だよ…
彼奴に物投げ付けて、走り出してから此処まで全力疾走したから」
「・・良かった……」
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