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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第19章 動く光と影



美紀に言った通り、今日の仕事は少し立て込んでいる。


回線通話を使った、重役達との会議…
また狸の相手かと思うと少々嫌なものがあるが、此処は仕事と割り切らなくては……


執務室の椅子に座り、早乙女会長としての仮面を被る…
必要な事‥そこに頓着は無いが、私生活があまりにも幸せに溢れているせいで、私自身が切り替えるのに多少の時間が掛かる。



「会長…」

「・・・
どうした遠藤?」

「後30分後に会議が始まります」

「ああ……」


それは勿論分かっている、遠藤も最近の私の生活を見て気にしているのか??



「・・・
心配無い、無難に乗り切る自信はあるよ」

「それは勿論……」

「なにか心配かね?」


敢えて机に肘を付いて手を組み、早乙女会長として遠藤に対応。



「・・・
いいえ・・・」

「・・そうか……」


語る言葉を無くした遠藤は、会議資料だけを机に置き、執務室から下がって行く。



(少々やり過ぎたか?)



公私混同はしていないつもりだが、遠藤に取っては一抹の不安があるのだろう。


そういう私も不安があるが……



美紀と暮らし始めてから、早乙女会長という仮面は重く感じる…
ただの早乙女紀永として居られたら、どれだけ楽な事か‥考えても詮無い事、それは良く分かっている。


美紀との‥今の生活を壊さない為にも、早乙女会長という仮面は必要不可欠。


この屋敷だからこそ、近親相姦という禁忌を超えて、美紀と愛し合う事が出来るのだから。


その為にもベールに包まれた仮面を被る…
狸の相手など簡単な事だ‥会長の私に取っては……



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