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OLオクサマのふぇろもん
第1章 Scene.01
 
 暗くなりかけた外へと出れば、家と家の間を通る路地。

 両脇は一メートル程の高さに積み上げられたブロック塀。

 幅も狭く、通りまで十数メートルの細い路地を利用するのはウチの住人か配達の人たちだけ。

 敷き詰められた砂利を、音が鳴らないようにと踏みながら進む。

 左手に見える家から溢れる灯り。

 ゆっくりと静かに進むだけで鼓動が速まる。

 閑静な住宅街にあって、僅かな物音さえも耳に飛び込んでくる。

 遠くから聞こえる、小さな子どもたちの帰宅を急ぐ声。

 流れる水の音。

 一歩進む毎に、膝を折り曲げる。

 自ずと頭の位置はブロック塀よりも低くなっていく。

 左の家から灯りが洩れる窓の傍へと近付く度に、流れる水音は鮮明に聞こえてくる。

 鼓動が更に速まる。

 完全に塀の下に頭を隠し、灯りが洩れる窓の傍へと到達した。
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