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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 月光庭園
…本当に…狭霧さんは何を考えているのかな…。
あんなに綺麗な顔が近くにきたら…僕だって動揺するよ…。
月城は胸の鼓動を抑えようと深呼吸する。
その時、隣室から伯爵の美しく通る声が聞こえた。
「狭霧、月城、こちらにおいで」
月城は隣室の扉を開ける狭霧に続いた。
隣室の居間では、伯爵が重厚な長椅子に座り、手紙を開いていた。
狭霧が伯爵の為に、キャビネットからブランデーを取り出し、グラスを用意する。
月城はかしこまって伯爵の前まで進む。
「来週の縣の屋敷で開かれる夜会にお前も同行しなさい」
伯爵はその見る者を魅了せずにはいられない微笑を浮かべて月城を見る。
「…夜会…ですか…?」
月城は慌てて首を振る。
「む、むりです…!そんな…私などの若輩者がそのような晴れがましい場所になど…!」
伯爵は可笑しそうに笑う。
「…何を怯えているのだ。…いずれお前は私や梨央に同行して夜会や舞踏会や場合によっては宮中に参拝することもあるのだ。…今から慣れておくことは必要だよ」
「…は、はあ…」
「…縣の夜会なら礼也君がいるし、そう緊張もしないで済むだろう」
「…し、しかし…」
躊躇する月城に、狭霧が伯爵にブランデーグラスを手渡した後に、声をかける。
「大丈夫。…私がついているから。月城君は何も心配することはないよ…私が手取り足取り教えてあげるからね」
狭霧は美しい目元で誘うように笑う。
「は、はい…」
たじろぐ月城を伯爵が声を立てて愉快そうに笑う。
「…それはいい。狭霧は従者としては超一流だからね…ただし、気をつけるように…彼はお前のように純真無垢な青年には少し毒が強すぎる男だからな…」
ちらりと背後の狭霧を見やる伯爵…。
狭霧はその麗しい三日月のような唇に妖しい微笑を浮かべ、伯爵を見つめる。
「…旦那様もお人がお悪い…月城君が信じたらどうします?」
…本当に…僕にはまだまだ未知の世界が多すぎる…。
月城は濃厚な二人の眼差しからそっと目を逸らし、俯いたのだった。
あんなに綺麗な顔が近くにきたら…僕だって動揺するよ…。
月城は胸の鼓動を抑えようと深呼吸する。
その時、隣室から伯爵の美しく通る声が聞こえた。
「狭霧、月城、こちらにおいで」
月城は隣室の扉を開ける狭霧に続いた。
隣室の居間では、伯爵が重厚な長椅子に座り、手紙を開いていた。
狭霧が伯爵の為に、キャビネットからブランデーを取り出し、グラスを用意する。
月城はかしこまって伯爵の前まで進む。
「来週の縣の屋敷で開かれる夜会にお前も同行しなさい」
伯爵はその見る者を魅了せずにはいられない微笑を浮かべて月城を見る。
「…夜会…ですか…?」
月城は慌てて首を振る。
「む、むりです…!そんな…私などの若輩者がそのような晴れがましい場所になど…!」
伯爵は可笑しそうに笑う。
「…何を怯えているのだ。…いずれお前は私や梨央に同行して夜会や舞踏会や場合によっては宮中に参拝することもあるのだ。…今から慣れておくことは必要だよ」
「…は、はあ…」
「…縣の夜会なら礼也君がいるし、そう緊張もしないで済むだろう」
「…し、しかし…」
躊躇する月城に、狭霧が伯爵にブランデーグラスを手渡した後に、声をかける。
「大丈夫。…私がついているから。月城君は何も心配することはないよ…私が手取り足取り教えてあげるからね」
狭霧は美しい目元で誘うように笑う。
「は、はい…」
たじろぐ月城を伯爵が声を立てて愉快そうに笑う。
「…それはいい。狭霧は従者としては超一流だからね…ただし、気をつけるように…彼はお前のように純真無垢な青年には少し毒が強すぎる男だからな…」
ちらりと背後の狭霧を見やる伯爵…。
狭霧はその麗しい三日月のような唇に妖しい微笑を浮かべ、伯爵を見つめる。
「…旦那様もお人がお悪い…月城君が信じたらどうします?」
…本当に…僕にはまだまだ未知の世界が多すぎる…。
月城は濃厚な二人の眼差しからそっと目を逸らし、俯いたのだった。