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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
月城は梨央の部屋の扉をノックする。
「梨央様、お手紙が届いております」
「どうぞ」
中から鈴を鳴らすような美しい声が聞こえた。
「…失礼いたします」
扉を開け、中に入る。

梨央は14歳になった。
絹糸のように美しく長い髪を真珠の髪留めで纏め、レースで縁取られた白いブラウスに薄桃色の花が描かれた透かし模様の長いスカート…。
白い肌は透き通るように美しく、頬は薔薇色、綺麗な三日月のような眉の下には、濃く長い睫毛に縁取られた宝石のように黒く輝く瞳、形の良い鼻筋、唇はつややかな果実のように紅い。
背がすらりと伸び、手足が長くまるで西洋の少女のように美しいシルエットである。

窓辺の椅子に座り、本を紐解いているその姿はまるで一枚の西洋絵画のようだ。
…本当にお美しくご成長遊ばされた…。
月城は毎日見ても感嘆の溜息を吐かずにはいられない。
「…ありがとう、月城。どなたからかしら?」
梨央はその儚げな硝子細工のような美貌にしとやかな花に似た微笑を浮かべ、月城に尋ねる。
月城は一礼して、梨央に恭しく一通の封筒を手渡す。
菫色の高価そうな封筒には同じく菫色のインクでしたためられた美しい筆跡の宛名と差出人の名前…。
「差出人のお名前は麻宮光様…とございます」
その名前を聞いた途端、梨央の瞳がふいに輝いた。
「光お姉様から?…まあ!パリからお帰りになったのね!」
受け取った手紙をもどかしげに銀のペーパーナイフで開き、やや興奮したような面持ちで便箋を開く。
…こんなに高揚された梨央様を拝見するのは久しぶりだ…。
月城は少し手紙の主に嫉妬じみた感情を持つ。
そして控えめに尋ねた。
「…恐れながら、麻宮様とは…」
素早く手紙に目を通した梨央は瞳を上げ、
「月城はお会いしたことはなかったかしら?…光お姉様は私の従姉妹よ。…ずっとパリのリセの寄宿舎にいらしたの。…でも今、ご帰国されているのですって…そして、来月から私の軽井沢の別荘にいらっしゃる…て書いてあるわ!…どうしましょう、月城!光お姉様が…お泊まりにいらっしゃるなんて!どうしたらいいのかしら…!」
梨央の瞳が見たこともないほどきらきらと輝き、その頬が朱に染まる。
そして今一度手紙に目を通し、その手紙を大切そうに胸に抱きしめた。

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