この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
「…梨央様…嬉しそうでいらっしゃいますね…」
月城が尋ねると、梨央は瞳をきらきら輝かせる。
「ええ。…光お姉様とお会いするのは4年ぶりなの。お姉様がパリに行かれて以来だから…どきどきするわ」
「…光様はおいくつでいらっしゃいますか?」
「私より4つ年上の18歳よ。…光お姉様は本当にお美しくて、快活で、利発でいらしてあの頃から大人っぽくて…でも、何て言うのかしら…とても神秘的で、捉え所のない方なの」
梨央が夢見るような眼差しをして窓の外を見つめる。
「…私、学校も通えないし、人見知りが酷いでしょう?…従姉妹会や親戚の集まりでもいつもばあやの陰に隠れて人の輪に入れなかったの。…そうしたら光お姉様が…梨央さん、こちらに来てお話ししましょう…て声をかけて下さって…遊んで下さったり、色々なことを教えて下さったの」
その頃のことを思い出すように懐かしそうな表情をする。
「お優しい方なのですね、光様は…」
そんな梨央を月城は微笑ましく思う。
「ええ。お優しくて、お美しくて、何でもお出来になって…私の憧れの女性なの」
梨央は手紙を愛しげに眺める。
「…光お姉様がパリのリセに留学されることになって、寂しくてお別れの時に泣いてしまったの。そうしたらお姉様は、泣かないで、梨央さん。私はずっと梨央さんのことを思っているわ。大好きよ…て仰ってくださって…抱きしめて下さったの…」
梨央の美しい頬が薔薇色に染まる。
「…それからずっとお手紙のやりとりをしていたのだけれど…やっと4年ぶりにお帰りになったのね…」
「…左様でございますか…」
…梨央様がこんなにもお1人の人を熱く語られるとは意外だ。
月城はそっと眼鏡を押し上げ、梨央を盗み見する。
「…早く…早くお会いしたいわ…でも、なんだか恥ずかしい…!お姉様は私をご覧になってどう思われるかしら…まだまだ子供っぽいのですもの…どうしよう…」
梨央は1人赤くなり、両手で顔を覆う。
月城はそんな梨央を愛しげに見つめ、
「…驚かれますよ。きっと。…梨央様は本当にお美しくご成長遊ばされていらっしゃいますから…」
…本当だ。
…梨央様以上にお美しいご令嬢などおそらく他にはいまい…。
…時々、お側にいるのが苦しくなるほどに…。
月城は心の中でそう呟いた。




/233ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ