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背徳のディスタンス
第2章 教育担当

「……ほーんと、出来た子だねー日野崎くん。真面目だし仕事の覚えもいいし、おまけに愛想も顔もいいし。あんな子が担当になったらやばいわあたし」
「やばい?」
「……食べちゃう」

 にんまりと歯を見せて言う穂波に、奈々は思わず緑茶を噴きそうになった。

「はあ?」
「嘘だってっ」
「もう、言動がチャラい」

 呆れたように肩をすくめ、わざとらしくため息をついてみせた。
 そういえば、『やばい』と『食べちゃう』は最近の穂波の口癖だった。
 穂波は奈々とは真逆の外見と性格をしている。派手好きで、服装も華やかなものが多い。コールセンターは電話対応が主な仕事なので、身だしなみに関しての縛りは緩い。髪色や化粧、アクセサリーやマニキュアなどは自由だし、一応スーツでという規則になっているけれど、色などはなんでも構わない。穂波は蜂蜜色のショートボブに化粧も濃く、スーツの色は薄いピンクや白に近い色を好む。
 ダークブラウンのロングヘアにナチュラルな化粧、スーツもグレーや紺中心の奈々とは対照的だった。
 性格も真逆である。
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