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背徳のディスタンス
第2章 教育担当
穂波は交遊関係も広く、騒ぐのが好きだ。人見知りもなく周りに打ち溶けるのも早いし、恋愛体質でもある。常に社内の男には目を光らせている節がある。仕事に関していえば、可もなく不可もなくといったところ。ミスもちらほらとあるが、営業成績だけを見れば悪くはない。持ち前の話術で着実に顧客を増やし、成績をあげている。もちろんコールセンターの電話業務は営業だけではないが、そこができているのは強い。
一方奈々は交遊関係はあまり広くないし、大勢で騒ぐことは好まない。恋愛に関しては、穂波が心配するほど無関心だ。男に関してたまに入ってくる噂は、奈々が男性社員を振ったらしいというものばかりだし、奈々自身からは男の話が出たことがない。
一方仕事は、すこぶるできる。業務全般において好成績を継続してあげている。
そのこともあり、新人教育を任されたのも同期の中では一番早いのだ。
「奈々様は相変わらずお堅いですねぇ。お姫様出身?」
「……何よ、それ」
意味がわからない。馬鹿にされていることだけは理解できたので、ことさら冷たく問い返す。
穂波は声をあげて笑った。