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背徳のディスタンス
第3章 社内プレイ
そして定時後。他の社員は次々と席を立ち、帰っていく。望は宣言通り帰らずに、隣に座ってマニュアルを見直していた。
奈々は咳払いを一つして、そんな望に問う。
「で、定時後に残ってまで聞きたいことってなんなの?」
望は自分のディスクで読んでいたマニュアルをパラパラと捲り始める。仕事の基礎が全て載っているマニュアルはページ数も多く、分野によって三冊に別れている。今望が読んでいるのは主に対顧客用だ。
新人のうちはとりあえずマニュアルの中身を暗記できるほど読み込んで、実践で慣れろと教わる。望も暇さえあればこのマニュアルを開いていた。
望はマニュアルを奈々のディスクに置いて、あるページを開いて見せた。
「ここの場合なんですけど」
(あ……近い)
望が体を寄せてきて、奈々は動揺した。腕や肩が触れる。
そのまま内ももをさすられた。
「あ……やめっ」
抗議しようとした奈々を、望は素早くしっと合図し止めさせた。わずかに顔をあげ視線だけで辺りを見渡す。
まだ人は多い。そんなのわかっているけれど。