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背徳のディスタンス
第5章 淫らな遊び
「おはようございます」
オフィスに着くと、望が笑顔で挨拶してくる。
「……おはよう」
下着の件について、言及されるだろうか。そんな疑問を抱きつつ、自分の席へとつく。
隣で望が身を乗り出してきた。
「土曜日はありがとうございました。俺から誘ったのに、結局奢ってもらっちゃったし」
「……そりゃ、ご飯くらい奢るわよ。私の方が先輩だし」
新入社員の日野崎の給料はまだまだ安い。噂によると彼の地元はここではなく、今は一人暮らしらしい。生活費だけで給料なんて飛んでいってしまうのではないかと思った。
それなのにこんな下着を買ってくるなんて、本当に呆れてしまう。
考えてみれば、奈々は日野崎とプライベートな話をしたことがほとんどなかった。教育担当を任されてそろそろ三ヶ月になるが、業務に関わることばかりだ。
本当はもっと食事に誘ったりして日野崎とコミュニケーションを取ることも業務のうちなのかもしれないが、奈々はそういうのは苦手だった。
そのため、一緒にお昼を食べるのは土曜が初めてだった。