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第7章 酔い

なんで嫌われたのか分からない。
他の女と同じって何なの?

だったら初めから私に触らなければよかったじゃない。

何度か仕事帰りに
よっちゃんを見かけても声かけられなかった。

また冷たい言葉を言われそうで怖くなった。

気晴らしに一人で飲みに行った。
由貴はカウンターに座った。

しばらく由貴はマスターと日常会話していた。
後ろのテーブルにはカップルがいる。

「信じられない❗もう別れる！」

女が走って行った。

追いかけずに男はタバコをふかし
マスターにウイスキーを頼んだ。

「安部さん、一人でテーブルいるの寂しいでしょ。
カウンター来ませんか?」

「はい。」

安部は由貴のひとつ椅子を挟んで座る。

「いやーすいません。恥ずかしいとこ見せました。」

安部は由貴にあやまる。

「構いませんよ。人の言動なんて予知できないですから。
追いかけなくてよかったですか?」

「追いかける必要もないです。もう疲れました。
ヤキモチをよく妬いてもらうのは
付き合った当初は嬉しかったのですが…
僕が出張や接待が増えたら　もうキリがなくて…」

安部はため息をついた。

「そうですか…息つまりますよね。」

由貴は無難な言葉を選んだ。

安部は36才。
聞くと由貴の職場の近くで働いていると言う。
「由貴さんは付き合ってる方いるんですか？」

酒もある程度飲んで酔いが回ってきた。

「最近好きな人にフラれました。」
由貴は悩みを話す。

「由貴さんみたいに素敵な人が?
もったいないですねー。」

安部は微笑む。

「どんなところが嫌になったんでしょうね。」

「きっと　欲張りなところだと思います。」
もっと強くして…
私が性欲が強すぎて
よっちゃんは引いたのかもしれない。

「欲張り？どんなところが？」
マスターが奥の厨房へ入ったのを見計らったように
安倍は由貴の手に触れようとした。

「あの…楽しかったです。ありがとうございます。
私帰ります」

「ちょっと…」

かなり酔ってしまった由貴は帰る支度をして店を出る。

すると焦ったように安部も店を出てきた。