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いとおしい青
第17章 冷たい唇
「傘入って行きます?」
茶色の傘を出されて顔を除くと井口だった。

「いえ、大丈夫です。」
嫌だなー、そっとしてほしいものだ。

「井口さーん!途中まで一緒に帰りませんか?」
ゆるパーマの女性が井口さんに声をかけていた

「すいません、僕はこの人と帰るので。」

強引に井口は由貴の腕を引っ張り歩いていく。

「ちょっと!」

整ったまつ毛、低い声。
井口は由貴の耳元で低い声で囁いた。
「協力してください。」

不覚だ。今私ドキドキした

そこまでくっつかなくてもいいのに…
由貴は自分にイラッとしていた。

井口は由貴の肩が雨に濡れぬように傘の中に抱き寄せる。
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