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新月の闇 満月の光
第9章 流転の兆し
CMがオンエアされた。
由につけ、悪しきにつけ、色々な意味で反響があった。
案の定、最初に注目されたのは、合坂。
予想通り、合坂が人気的に『Yume』を喰らった形と成った。
二番手は、『Yume』。
ひと皮剥けた彼女の更なる音楽に期待。
そう評価されていてまずまずの手応えだった。
「当然の結果に満足か? 」
と、社長に問われ、「まさか」と、答える俺。
「当然の結果が出ただけなのに? これに満足していたら、進歩は望めない。あながち、間違いでは無いだろう? 」
俺は、名指しで俺を社長室に呼び出した姉にそう答えていた。
「いい結果が出たと言うのに、手厳しいなぁ、お前は………… 。っと、そうだった、真紘、お前も、赤丸付きで人気急上昇中だぞ。近い内に雑誌の取材が来る予定だ」
「断れ。面倒だ。『mahiro』は謎の人物で良い。ミステリアスな部分を押し出して聴衆を煽る。よって、顔出しも、取材も、テレビも、全てNGだ。『Yume』とのCM共演のみで行う。でなけりゃ意味が無い」
姉が、溜め息を付く。
「何なら、CG説でも流すか? 少しの噂を吹聴すれば、『mahiro』の謎が深まる。人間心理としては、隠されれば隠される程、知りたくなるものだ。其処を付く。『Yume』と抱き合わせで売っていけば、彼女の人気に加えて『mahiro』の人気も上がる」
「そう上手く行くかな?」
「其処を上手く算段するのが、俺達の仕事だろう? 」
俺の言葉に、姉がニヤリとほくそ笑んだ。