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新月の闇 満月の光
第9章 流転の兆し
「ちか、お前はには、結芽の身辺護衛を頼みたい」
「ん~、『ちか』をご指名なのね。『女の子限定』の所まで入れって訳ね~」
「そう言う事だ」
男のような話し方から滑らかに。
女の声と言葉を操る『ちか』と呼ばれた美女。
「私を呼びつけた目的が漸く解ったわ。良いわよ。引き受けたげる。但し、謝礼+『Yume』のサイン色紙、2枚ちょーだい。後、出来れば合坂くんのサインもほしいな~」
「お前なぁ…… 」
「俺なら全然いいっすよ。寧ろ、こんな綺麗なお姉さんに貰って頂けるなんて光栄の至りってもんです」
合坂の言葉に、「あら、そう? ふふっ」なんて満更でもなく笑うちか。
こいつ、この状況で遊んでやがる。
俺にはそう思う根拠があった。
何せ俺とコイツは、小学生からの腐れ縁。
所謂、ツーカーと言われる仲だ。
だから、いざという時は頼りに成って、されもする。
「うふふふふ……… 」
ちゃっかりふたりからサインを貰って御満悦の様子。
2枚ずつって、誰にあげるんだろう?
率直な疑問が湧く。
「ああ~っ!此処に三波さんへって、書いてくれます~? 」
色紙の隅を指すちかに何となく納得する。
「そういや、三波ちゃんは元気?」
「ん~? 元気、元気。今、産休取って家に居るわよ」
「えっ?! 産休って……… おま、今回で何人目? 」
思わず、驚きの声が出た。
「んふふ~。5人目~。今度こそ女の子ってね」
「懲りないなぁ… 殆ど毎年じゃね? 」
ウキウキとした声音に、呆れて声が上擦る俺。