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新月の闇 満月の光
第9章 流転の兆し
やはり有ったか…………、封筒の角に上手く忍ばせている硬い物。
これはこれは、なかなかレトロ感半端ないやり口ですね。
けれども、インパクトだけは頗る高い。
ハサミを使って、尚も慎重に封を開けていく。
木坂と合坂が、俺の手元を見つめる中、封筒の口をパカッと開けて、ひっくり返す。
すると案の定。
コロンと出て来る、大振りのカッターの刃。
「うっわ。めっちゃ古典的」
「こんな事する奴、未だに居るんだ………… 」
などと、思わず口にする木坂と合坂を無視して、中を覗いてみると、手紙が入っている。
危険物は無いかと確認しつつ、そっと引っ張り出して、開く。
そして、流石の俺も驚いた。
「なっ………… 」
「先輩、これ…………血文字……ですか?」
言葉に詰まる木坂と合坂の声が、自然と震えていた。
異常な心理の持ち主だと考えるまでもなく見て取れる。
── こいつ………… 。 ──
狂気。
そこに書かれていた文句から匂い立つ明らかなる狂気。
コレを書いた者の狂気が、俺には手に取るように解る。
あはははははは。
いやはや、こんな所でお会いするとは。
俺と同類。
孕んだ狂気は、俺の持つモノと反吐が出るほど似通っていた。