この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
新月の闇 満月の光
第3章 貴方の暗闇~結芽の思い~
朝食を戴いて、後片付けを終わらせると、私はこの部屋の鍵を掛け、隣へと移動した。
この家は、お姉ちゃんと真紘さんの家。
私と真紘さんの家じゃない。
私の家は、その隣にあたる。
お姉ちゃんが居なくなってから、お姉ちゃんと真紘さんの家に私の部屋も出来たんだけど、私はこっちの部屋の方が居心地が良かった。
変に一部屋、一部屋をゆとりある家にしているせいで、このマンションは、角部屋がワンルームになっている、デザイナーズマンション。
家賃は、真紘さんが払っていて、お姉ちゃんと結婚した時に、私も引き取ってくれて一緒に暮らし始めた。
私は、隣のこのワンルームだけど。
本当はね、私、独りで居残ろうと思ってたの。
両親が残してくれた家に。
私の両親は、事故で亡くなってね。
その時、私とお姉ちゃんは、高校の修学旅行中で、難を逃れたの。
トラックの居眠り運転が、事故の原因で…………。
私とお姉ちゃん、二人きりになってしまって…………。
なのに、たった独りの肉親まで私は亡くしてしまって…………。
もう、真紘さんだけ……。
でもね、私、真紘さんの事は、義兄(おにい)さんって、呼びたくない。
だって、私、今でも真紘さんが好きなんですもの。