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新月の闇 満月の光
第4章 動き始める時間
柚芽が休みでも、俺は違う。
週末金曜の、午前8時30分。
都心に有る高層ビル群の一角。
20階建の8階と9階に席を置く『サングリア』。
此処に俺の通う職場が有る。
『サングリア』は、230名の社員と、110名のタレントを有するプロダクションだ。
様々な部門を抱え持つ此処で、結芽はタレント、俺はマネージャーという立場にあった。
出勤すると、すれ違う皆が柚芽は?と、問い掛けてくる。
その都度、『今日はオフだよ』と答えるのが、頗る付きで面倒だ。
デスクに腰掛けて、パソコンを開いた途端、見ていたかのように鳴る電話。
俺は、深い溜め息を付きつつ、受話器を取った。
『オッハヨーサン。真紘。お前も休めば良いのにさぁ、律儀だね』
「柚芽はオフでも、俺にはやる事が、五万と有るので。で、仕事の邪魔をするつもりでしたら切りますよ。社長」
『本当、社長の私にそんな口を利くのは、お前だけだね』
「切ります」
本気で受話器を置こうとする俺の態度を察知したのか、離した受話器の向こうから慌てふためいた社長の声が聞こえる。
『ちょっと待て!! yumeの仕事の事だ。マネージャーのお前に状況を聞きたい。だから、ちょっと来てくれないかな? 』
最後には疑問符になっていた社長に、訝しげに聞く俺。
「本当ですか?」
この人の言う事は、引き算で考えて丁度良い。
『マジです、マジ。』
どうやら、嘘偽りは無さそうなので、俺は、
「解りました」
と、言う返事を残して受話器を置いた。
はぁ、と息を吐くとノートパソコンを閉じ、俺は椅子から立ち上がった。
週末金曜の、午前8時30分。
都心に有る高層ビル群の一角。
20階建の8階と9階に席を置く『サングリア』。
此処に俺の通う職場が有る。
『サングリア』は、230名の社員と、110名のタレントを有するプロダクションだ。
様々な部門を抱え持つ此処で、結芽はタレント、俺はマネージャーという立場にあった。
出勤すると、すれ違う皆が柚芽は?と、問い掛けてくる。
その都度、『今日はオフだよ』と答えるのが、頗る付きで面倒だ。
デスクに腰掛けて、パソコンを開いた途端、見ていたかのように鳴る電話。
俺は、深い溜め息を付きつつ、受話器を取った。
『オッハヨーサン。真紘。お前も休めば良いのにさぁ、律儀だね』
「柚芽はオフでも、俺にはやる事が、五万と有るので。で、仕事の邪魔をするつもりでしたら切りますよ。社長」
『本当、社長の私にそんな口を利くのは、お前だけだね』
「切ります」
本気で受話器を置こうとする俺の態度を察知したのか、離した受話器の向こうから慌てふためいた社長の声が聞こえる。
『ちょっと待て!! yumeの仕事の事だ。マネージャーのお前に状況を聞きたい。だから、ちょっと来てくれないかな? 』
最後には疑問符になっていた社長に、訝しげに聞く俺。
「本当ですか?」
この人の言う事は、引き算で考えて丁度良い。
『マジです、マジ。』
どうやら、嘘偽りは無さそうなので、俺は、
「解りました」
と、言う返事を残して受話器を置いた。
はぁ、と息を吐くとノートパソコンを閉じ、俺は椅子から立ち上がった。