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新月の闇 満月の光
第4章 動き始める時間
私が、夕食の下準備をしていると、玄関の鍵が開く音がした。
ん~?
真紘さんの帰宅には、早過ぎるし。
でも、鍵を持つのは私と真紘さん、そして、緊急時の為に真紘さんのお姉さんである社長の3人だけ。
真紘さん?
リビングまで歩いて来る足音が、
真紘さんだった。
この足音は、真紘さん。
絶対間違いないわ。
私、愛する人を間違えたりしないもの。
物色していた冷蔵庫を閉じて、私はキッチンを出る。
リビングの扉が開いて、案の定、真紘さんが入って来た。
私に驚いて、目を見張る真紘さん。
でも直ぐに鞄を置いて
飛びつく私を、両手を広げて抱き留めてくれた。
真紘さんがお姉ちゃんと結婚しても変わらない儀式のようなモノ。
抱きしめてくれて、あの頃は、髪の毛にキス。
今は、それが唇に落ちて来る。
お姉ちゃんと貴方が結婚しても、私達は変わらない。
もしかすると。
でも私達、誓って疾しい事は何もしていない……。
そして、よくよく考えると、おかしな事に行き着くの。
お姉ちゃんは、私が大嫌い。
悲しいけれどそんな事、昔から解ってた。
昔からお姉ちゃん、私の持ってるモノばかりを欲しがり、そして、必ずと、言って良い程、
取り上げた……。
もしかしたら真紘さんも……。