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新月の闇 満月の光
第6章 御劔家と如月家 (みつるぎけときさらぎけ)
「御劔の跡継ぎは別の御劔の血縁者から選んで下さい……。義父(おとう)さん。叔父や従兄弟だって居るんですから…………、ね 」
「でも、お前は御劔コンツェルン総帥の息子なんだぞ、父親が息子に家督を譲りたいと思うのは当たり前だろう 。それに重役連中はお前を認めている。帰還を待ち望んでいるんだ 」
「買い被りすぎなんだよ……。俺はそんな大それた男じゃ無い。昔ならいざ知らず、今は精神を病んだ病人なんだよ」
「阿呆、本当に病んでる人間は自分を病んでるとは言わない…… 」
まるで一発触発の様相を呈している。
義兄は諦めないし、俺も自分を押し切る。
もう、結芽以外の女と結婚なんてしない。
何があっても。
「それに、俺の結婚相手は結芽だ。彼女しか、抱けないし立たない……。ましてや従姉妹と結婚なんて有り得ないから」
そう言って俺は、先手を打った。
御劔の力は結芽を押し上げるに格好の餌になる。
確かにあれば便利だが、現在(いま)を壊してまで欲しいモノでは無い。
「兎に角、俺は『mahiro』に成るし、御劔家の当主に成る事は無い」
そう言って、今一度、義兄を見やると立ち上がった。
部屋の一角では、俺が『mahiro』に成る準備が着々と進んでいた。
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「あううう、怖かった~、彩花~! 真紘ちゃん怖いよ~ 」
「本当、馬鹿よね。おばか」
なんて言ってた事を、真紘は知らない。