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新月の闇 満月の光
第6章 御劔家と如月家 (みつるぎけときさらぎけ)
彩花side🍷
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あ~ぁ、馬鹿旦那は、大好きな義息子を怒らせて仕舞いましたね。
「馬っ鹿じゃない? 家を継がせたいなら、結芽の事認めてあげたら良いんじゃないの。結芽と亜依は違うって事位、その四角い頭でも解っているんでしょう 」
「でも、彩花………… 」
「御劔の血がうんたらかんたら言うんなら、全部諦めなさい。それこそ真紘の言う通り、貴方の甥っ子を養子にして跡継ぎになさい。あの子には結芽が必要。あたしは逸れをあの子の側で見てきたの。貴方の会社で課長として大きなプロジェクトを抱えて奮闘していたあの子が、逸れから外れてあたしの会社に転職しなきゃいけなかった程の打撃を真紘は受けたの 」
旦那に対し、息巻く中、
「省吾さん、少しは四角い頭を丸くしなければ、知恵など生まれませんよ。あの子の心は閉ざされて居ます。その門を開いているのは結芽さんだけ。並々ならぬ献身の心が、あの子の傷を癒やしているのだと、わたくしは思うのです。そんな2人を引き裂こうとする輩は『馬に蹴られて死んでしまえ』ですわよ」
お母さんが可笑しそうにコロコロと笑って(でも、目が笑っていない)言った。
流石、昔々、あたしが産まれて間もなくとも、抱っこ紐で抱え、あやしつつ、お父さんの会社で働いていただけはある。
根性が座っている。
高校生アルバイトの時から、大学、社会人と。
お母さんは、ずっとお父さんの会社にいた(居させられたのが正解らしい)。
2人の結婚までの経緯なんて知らない。
知っているのは、17歳であたしを身ごもった事。
お父さんがお母さんを溺愛してた事。
お母さんがとても有能だった事。
旦那に向けて、ただ、ただ、お母さんは、温厚そうにゆったりと笑って、確信を付く。
真剣な眼差しで。
洞察力高く。
その遣り手さ加減が、お父さんの壺に嵌まったらしい。
お母さんが、省吾を見据えた。