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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
「真紘さんは、『mahiro』になると変わりますよね」
そう言う私に、彼は、「そう? 」なんて言って、普段とは違う彼を見せる。
私に見せる微笑みが艶を纏う。
ドキッと胸が高鳴る。
彼が私から引き出しているのは、艶では無く、羞恥。
真っ赤に成る私は、きっと生方な小娘だ。
バージンでも有るまいに。
24にもなって、こんなに照れるなんて、ずるいです。
真紘さん。
「『Yume』さん、顔を上げて…… 」
そう言われた私は、反射的に顔を上げた。
首筋に迫って来る、彼の、白く筋張った男の手。
摘ままれた指の先のチェーンにぶら下がるのは、大振りのエメラルドのネックレス。
ダイヤのキラキラ光る取り巻きに、負けてない、重厚な輝きが、高級感を漂わせる。
何なんだろう?
この宝石は。
店がCM用に用意した物なのだろうか。
立派な物だと、言われなくても解る。
逸れを着けてくれる『mahiro』さんの手が首筋を掠めて、反射的にピクンと身体が揺れた。
何故?
手がかすっただけなのに、快感が駆けたの?
そして、私が感じてしまった事が、真紘さんにバレてしまっていた。
何故って?
だって、凄く色っぽい顔で笑うんですもの。
変に意識してしまう──── 。