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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
「結芽、誰の事を考えてたのかな? 」
少し、不満そうに聞き正す真紘さん。
その言葉に私は、微笑んで見せた。
「勿論、貴方の事よ、真紘さん 」
「そう? ならよろしい」
気付いているくせに、問い掛けて来る貴方が憎らしい。
なんてね。
ちょびっとよ。
ほんのちょっとだけよ。
それ以上に愛おしいから………。
「好きよ。真紘さん」
「ふっ………。唐突なんだな、結芽は…」
「思った事は、すぐにでも伝える事にしてるの」
真紘さんが、眩しそうな表情で私を見た。
「結芽らしいな」
真紘さんが、切なそうな顔を見せつつ、 私の頬にしなやかな指を、触れさせる。
唇の端に柔らかな微笑を刻む、彼。
つつつと、触れるか否かと思う様な絶妙な位置で、指を這わす真紘さんの行動に、思わず身体がブルッと震える。
「ふふっ……。その反応の意味は何かな? 」
あざとい…………。
わざと聞いて来るのね。
顔が赤く成るのは羞恥の現れ。
「可愛いな…………。結芽は……… 」
これは演技、演技。
甘過ぎる真紘さんの様子に、私は、自身で本気にしないよう、頭の中で反芻していた。