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新月の闇 満月の光
第1章 貴方の暗闇
ダイニングには、冷めた朝食。
自分はいまだに食べたら吐く癖に、結芽にはしっかり食べさせる真紘。
亜依が死んで、もう一年が経つと言うのに、真紘の傷は、まだ癒えずにいる。
────あたしは、どうすれば…………、どうしたら貴方を……。
考えてもどうしようも無いのかも知れない。
結芽はそう考えると、お風呂場へと脚を進めた。
2人抱き合った名残でべたついた身体をスッキリさせて、ダイニングに移動した結芽。
其処には喫茶店のモーニングさながらのメニューが並んでいた。
今日は、目玉焼きモーニング。
パンにサラダ、カップスープ。
どれも手作りで、温めた朝食は美味しそうだ。
ダイニングテーブルの上の、可愛らしいトースターから、ポンと山型食パンが飛び出す。
狐色に仕上がったパンにたっぷりとバターを塗り、一口かじった。
可愛いトースターを見つめ、結芽は物思いにふける。
この家に、亜依を偲ぶ品はひとつも無い。
真紘が、総て捨てた。
生活に支障をきたす程、彼はとことん捨てていった。
今は、結芽と二人で選んだ物と、結芽が選んだ物と、不充だろうと、うちの社長(彼の実姉)が持って来た物とで埋め尽くされていた。
結芽が毎夜蹂躙されるベットも、実は新調されていた。
──── 亜依と、その彼氏が愛し合っていたかも知れないでしょう? ────
──── そんなベットで寝るのは嫌だから。
そう呟いて、真紘は真っ先に捨てたのだ。
そして、新しく届いたベットで、結芽は、真紘の腕の中に収まった。
──── その夜、あたしは真紘さんに総てを捧げた。
真紘さんは、あたしの初めての人。
そして ────