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Vesica Pisces
第11章 太陽は静寂に沈む
まだ眠っている伽耶をベッドに残し、そっと部屋を出た。
シャワーを浴びて、嘉登が持ってきていたコーヒーサーバーをセットした。
冷蔵庫を覗くと何もない、正確に言うと朝食になりそうなものがない。
財布を手にすると家を後にした。
太陽はすっかり昇りきっていて、朝のざわめきも落ち着いていた。
ブランチになりそうな時間に、昨夜を思い出して口元を緩めてしまった。
完全に不審者だ。
少し遠回りして、穴場だけれど絶品のパンを揃えるパン屋でサンドイッチを幾つか購入する。
見た目の煌びやかなフルーツのデニッシュも買って、いつもよりずっと軽いペダルを漕いだ。
施錠した筈のドアが開いていた。
「伽耶?!」
まさか、とっくに起きていて自分を探して外へ出たのかと、急いで靴を脱いだ。
ドアを開けると、リビングはコーヒーの香りに満たされていて、ソファーには背筋を伸ばした伽耶が座っていた。
「おかえり」
キッチンから、コーヒーポットを持って姿を現したのは猛だった。
「いつ帰ってきたの?」
「さっき、彼女は?」
緊張している伽耶に向けられる視線。
「俺の」
「部屋にいれるくらいだから、特別なのはわかってる、先方に挨拶はしてあるのか?」
猛の言わんとする事がわかって口を噤んだ。
シャワーを浴びて、嘉登が持ってきていたコーヒーサーバーをセットした。
冷蔵庫を覗くと何もない、正確に言うと朝食になりそうなものがない。
財布を手にすると家を後にした。
太陽はすっかり昇りきっていて、朝のざわめきも落ち着いていた。
ブランチになりそうな時間に、昨夜を思い出して口元を緩めてしまった。
完全に不審者だ。
少し遠回りして、穴場だけれど絶品のパンを揃えるパン屋でサンドイッチを幾つか購入する。
見た目の煌びやかなフルーツのデニッシュも買って、いつもよりずっと軽いペダルを漕いだ。
施錠した筈のドアが開いていた。
「伽耶?!」
まさか、とっくに起きていて自分を探して外へ出たのかと、急いで靴を脱いだ。
ドアを開けると、リビングはコーヒーの香りに満たされていて、ソファーには背筋を伸ばした伽耶が座っていた。
「おかえり」
キッチンから、コーヒーポットを持って姿を現したのは猛だった。
「いつ帰ってきたの?」
「さっき、彼女は?」
緊張している伽耶に向けられる視線。
「俺の」
「部屋にいれるくらいだから、特別なのはわかってる、先方に挨拶はしてあるのか?」
猛の言わんとする事がわかって口を噤んだ。