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Vesica Pisces
第1章 太陽×静寂=99…
ふふっと笑みを洩らしたが、目の前にも終わる時間が微妙な量の資料が積まれている。
『ファイトー!』
顔文字入りでそれを送ると、入力作業に没頭した。
結局。
定時から15分遅れて終えたのは一人だけだった。
未知に聞いた駅前での待ち合わせ。
引っ切り無しに入るLINEは兄の昌樹からだ。
仕事は終わってもう店にいるのか、から始まり。
誰がいるのか、何人いるのか、駅からどれくらいなのか、何時に終わって、そこから未知の家までどれくらいかかるのか、本当に泊まるのか。
ふぅっと息を吐いて見上げたそこに広がった一枚の広告。
雪を舞い上げて空へと跳び出したその瞬間を切り取った一枚。
真っ青な空と真っ白な雪と、静止画なのにこの上ない躍動感。
魅入っていた。
あの人のいる世界は遠い遠い場所。
本当にこの世だろうか。
トントンと肩を叩かれて振り向くと、そこには和やかな笑みを浮かべた嘉登が立っていた。
「お待たせ、行こうか」
歩き出す方向を指差して、足元の荷物をさり気なく手に取り歩き出した。
嘉登こと、久我 嘉登との出会いは夏の終わりまで遡る。
『ファイトー!』
顔文字入りでそれを送ると、入力作業に没頭した。
結局。
定時から15分遅れて終えたのは一人だけだった。
未知に聞いた駅前での待ち合わせ。
引っ切り無しに入るLINEは兄の昌樹からだ。
仕事は終わってもう店にいるのか、から始まり。
誰がいるのか、何人いるのか、駅からどれくらいなのか、何時に終わって、そこから未知の家までどれくらいかかるのか、本当に泊まるのか。
ふぅっと息を吐いて見上げたそこに広がった一枚の広告。
雪を舞い上げて空へと跳び出したその瞬間を切り取った一枚。
真っ青な空と真っ白な雪と、静止画なのにこの上ない躍動感。
魅入っていた。
あの人のいる世界は遠い遠い場所。
本当にこの世だろうか。
トントンと肩を叩かれて振り向くと、そこには和やかな笑みを浮かべた嘉登が立っていた。
「お待たせ、行こうか」
歩き出す方向を指差して、足元の荷物をさり気なく手に取り歩き出した。
嘉登こと、久我 嘉登との出会いは夏の終わりまで遡る。