この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Vesica Pisces
第12章 太陽は静寂を愁う
握っている透の手が冷たい。
透の感じている不安が分からない。
「お前の仕事、彼女が先を見ないのと本当に無関係なのか?」
「とーうっ!」
思わず声を荒げてしまった。
猛の驚いた顔に頭を下げる。
『すいません、失礼します、今日は私のためにありがとうございました』
空車のタクシーが見当たらなくて、その場をひたすら離れた。
猛が見抜いたもの。
ギリギリで生きる透と、ただただ守られた日々を生きる自分。
違うの。
透の仕事は不安要素なんかじゃない。
透が羨ましい、透の生き方が、自分には出来ない事をやってる透が。
『透、私は…』
手を止める透。
「いいって」
何がいいの?
『私はずっと透といるから』
「ずっとっていつ?いつまで?」
『死ぬまで』
「…じゃあ、明日かも知れねーな」
そう言った透の表情は、笑っているような、哀しんでいるような…なんとも形容し難い顔を見せていた。
『明日も一緒にいるよ、明後日も、ずっと…ずっとだから!』
「一緒って、そんなの無理じゃん、お前仕事あるし、俺も基本外だし…って、先の事なんて…バカじゃねーの」
それでも、手を解かない透がたまらなく愛しかった。
透の感じている不安が分からない。
「お前の仕事、彼女が先を見ないのと本当に無関係なのか?」
「とーうっ!」
思わず声を荒げてしまった。
猛の驚いた顔に頭を下げる。
『すいません、失礼します、今日は私のためにありがとうございました』
空車のタクシーが見当たらなくて、その場をひたすら離れた。
猛が見抜いたもの。
ギリギリで生きる透と、ただただ守られた日々を生きる自分。
違うの。
透の仕事は不安要素なんかじゃない。
透が羨ましい、透の生き方が、自分には出来ない事をやってる透が。
『透、私は…』
手を止める透。
「いいって」
何がいいの?
『私はずっと透といるから』
「ずっとっていつ?いつまで?」
『死ぬまで』
「…じゃあ、明日かも知れねーな」
そう言った透の表情は、笑っているような、哀しんでいるような…なんとも形容し難い顔を見せていた。
『明日も一緒にいるよ、明後日も、ずっと…ずっとだから!』
「一緒って、そんなの無理じゃん、お前仕事あるし、俺も基本外だし…って、先の事なんて…バカじゃねーの」
それでも、手を解かない透がたまらなく愛しかった。