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Vesica Pisces
第13章 太陽は静寂を零す
そこに居て。

あなたは私じゃないとだめでしょう。

止まったりしない。

✳︎ ✳︎ ✳︎

「え、別れた?」

和可菜のそれと同時に目を丸くした。

「うん、もう二週間前になるかな」

未知はあっけらかんと言ってのける。

「なんて言うか…まあ、当然の事なんだけど…何で今更?」

「ふとした時に…なんか、これ以上付き合ってても先が見えないというか、だらだらいくんだろうなぁって思っちゃったのよね」

未知は頬杖をついて窓の外に視線を逸らした。

「すっごく好きって言うのもないし、嫌いになったわけじゃないんだけど…すっごく好きじゃないってさ、…淋しい、よね」

ここが会社の社食じゃなかったら、昼休みじゃなかったら、一緒に泣いて、朝まで飲み明かすのに。

「なんで伽耶が泣いてるのよ、大丈夫、意外とあっさりしたもんよ」

潤んだ視界で未知はにっこりと笑った。

「でね、フリーって暇なのよ、土曜日遊びに行こ!」

変わり身の速さに和可菜は呆れていた。

「だーめー、今週末はばんちゃんと久々のおデートなの」

「あー、今撮影で京都だっけ?」

「そ!二ヶ月ぶりなんだから、邪魔しないで」

ばしっと言い切る和可菜に、未知がこちらを向いた。


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