この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Vesica Pisces
第14章 太陽は静寂を切り裂く
そばに居ても何も出来ないってわかってる。
でもそばに居たかった。
「…頼むから、帰って…」
そんな顔で言われたら。
一人にしたく無いのに、帰るしかなかった。
然らの転倒を目の当たりにして、正直目の前で透があんな風になったらと思うと恐いと思った。
でも、不思議とそれ以上に目の前で見たいと思った。
誰よりも高く、巧く飛んで、その人は自分の恋人なのだと。
ヘルメットを取った透はきっと最高の表情で笑ってくれるだろう。
家に帰ると昌樹がリビングから意外そうに振り返った。
『ただいま』
「早かったな」
『西原さん、大丈夫なのか?』
昌樹から然の名前が出るなんて、もっと意外だった。
「たまたま…テレビ点けたらやってたから見ただけだからな」
『然くんなら大丈夫だって言ってたよ』
「…他、誰が大丈夫じゃないんだよ?」
昌樹のそれに直ぐ否定の言葉が出て来ない。
「伽耶、一人で溜め込むな、お前が彼奴を心配する様に、俺たちもお前が心配なんだ」
昌樹の言葉に頷く事しか出来ない。
「明日も仕事だろ?早く休めよ」
ベッドに入ると、帰り際に見た透が浮かんで来て、どうしようもない気持ちに無理矢理目を瞑った。
でもそばに居たかった。
「…頼むから、帰って…」
そんな顔で言われたら。
一人にしたく無いのに、帰るしかなかった。
然らの転倒を目の当たりにして、正直目の前で透があんな風になったらと思うと恐いと思った。
でも、不思議とそれ以上に目の前で見たいと思った。
誰よりも高く、巧く飛んで、その人は自分の恋人なのだと。
ヘルメットを取った透はきっと最高の表情で笑ってくれるだろう。
家に帰ると昌樹がリビングから意外そうに振り返った。
『ただいま』
「早かったな」
『西原さん、大丈夫なのか?』
昌樹から然の名前が出るなんて、もっと意外だった。
「たまたま…テレビ点けたらやってたから見ただけだからな」
『然くんなら大丈夫だって言ってたよ』
「…他、誰が大丈夫じゃないんだよ?」
昌樹のそれに直ぐ否定の言葉が出て来ない。
「伽耶、一人で溜め込むな、お前が彼奴を心配する様に、俺たちもお前が心配なんだ」
昌樹の言葉に頷く事しか出来ない。
「明日も仕事だろ?早く休めよ」
ベッドに入ると、帰り際に見た透が浮かんで来て、どうしようもない気持ちに無理矢理目を瞑った。