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Vesica Pisces
第14章 太陽は静寂を切り裂く
「お前、松重があの後どんなに泣いたか…っ!」
詰め寄るのは圭介で。
「でも今笑ってんじゃん、ちゃんと仕事もして、彼もいる、幸せそうで俺のした事は間違いじゃなかった」
「勝手な事言ってんじゃねぇよ!!」
侑一の気持ちの方が自分に近いと思った。
自分がいなくなって泣き暮れる伽耶なんて見たくない。
圭介が侑一に詰め寄る姿を、他人事のように冷めた気持ちで見つめていた。
「会社の前で何してるんですか?周囲に迷惑です」
険しい顔で現れた未知の横には伽耶が立っていた。
「英さんも有馬さんも上司がお呼びですよ、無駄口してる暇があるなら、さっさと帰社して日報を書いて下さい」
未知に怒られて明らかに凹んで中へ入って行く二人を見送る。
「お騒がせしてすみませんでした」
総務の顔として挨拶した未知は一礼して会社に戻って行った。
『来るなら、連絡くらいくれれば待たせないようにしたのに』
「待つつもりで来たからいいんだよ」
駅に向かって歩き出せば、くんっと裾を引き止められる。
『手、繋いでいい?』
「…どーぞ」
なんとも言えない微笑みを浮かべてそっと手を重ねる伽耶は、あいつとの別れでどれ程泣き濡れたのだろう。
詰め寄るのは圭介で。
「でも今笑ってんじゃん、ちゃんと仕事もして、彼もいる、幸せそうで俺のした事は間違いじゃなかった」
「勝手な事言ってんじゃねぇよ!!」
侑一の気持ちの方が自分に近いと思った。
自分がいなくなって泣き暮れる伽耶なんて見たくない。
圭介が侑一に詰め寄る姿を、他人事のように冷めた気持ちで見つめていた。
「会社の前で何してるんですか?周囲に迷惑です」
険しい顔で現れた未知の横には伽耶が立っていた。
「英さんも有馬さんも上司がお呼びですよ、無駄口してる暇があるなら、さっさと帰社して日報を書いて下さい」
未知に怒られて明らかに凹んで中へ入って行く二人を見送る。
「お騒がせしてすみませんでした」
総務の顔として挨拶した未知は一礼して会社に戻って行った。
『来るなら、連絡くらいくれれば待たせないようにしたのに』
「待つつもりで来たからいいんだよ」
駅に向かって歩き出せば、くんっと裾を引き止められる。
『手、繋いでいい?』
「…どーぞ」
なんとも言えない微笑みを浮かべてそっと手を重ねる伽耶は、あいつとの別れでどれ程泣き濡れたのだろう。