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Vesica Pisces
第15章 太陽は静寂を超える
「お前といい、不動といいもう少し落ち着いた大人になれねーのかよ」

侑一を押し退けて和可菜が握ってたスマホのロックを外す。

『ベッドの写真なら今見たよ』

「ベッド?なにそれ…えっと…これ!!これ関係ないよね?!」

二人してスマホを覗きこむと一昨日オーストラリアで大規模な雪崩があり、オランダの撮影チームが巻き込まれたとのニュースだった。

透が参加したチームが何処かなんて知らない、それでも胸が騒つく。

「伽耶、電話貸せ!」

リダイヤルをする侑一の口元に注意すれば、確かに意識不明と動いた。

和可菜のスマホに上がっていた雪崩のニュースを追えば、ミズシマ トオルの文字が出てきた。

「…っか…きゃ…」

「伽耶?」

「と、る…の、ぉこっ…!!」

電話を切った侑一が手を引いて未知の元へと向かう。

「伽耶!嘉にいから連絡がきて…透さんが…!」

「不動、伽耶の有給の申請を」

未知も和可菜も目を丸くしている。

「一人で、行けるな?」

侑一だけが信じていた。

一週間の有給と、侑一が取ってくれた航空券でその日の最終でオーストラリアへと向かう事になった。

「変な人に着いて行っちゃダメだよ!」

二人からそれぞれ貰った防犯ブザーとお守りは最低限のスーツケースにぶら下がった。


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